岐阜県博物館のマイミュージアムギャラリーで開催されていた 『きものコレクション~染色の人間国宝と巨匠たち~』を見学に行ってきました。
見学中に、博物館館長さんから、着物を展示して下さった樋口さんに表彰状?感謝状が贈られていました。
たくさんの方がこの展覧会に来場されたそうですよ。
樋口冨喜子(ひぐちふきこ)さんは、岐阜県揖斐川町在住。樋口さんが、収集した着物、帯、小物はこれまでに5,000点以上にのぼります。今年2月には、樋口さんのコレクションの中で、長着 3,045枚が「最大の着物コレクション』(The largest collection of kimono)として、ギネスレコードに認定されました。
会場には人間国宝の作品、テレビ番組で驚きの鑑定結果が出た初代龍村平蔵(たつむらへいぞう)の帯などなど、約80点の作品が展示されていました。
なんと樋口さんご自身に作品を紹介していただくという幸運に!樋口さんは1点1点『この作品はね~~』『この作家さんはね~~』と、丁寧に説明して下さいました。着物を大切に想い、作家さんの技を大切に想ってみえるんだなぁとヒシヒシと感じました。
こちらのコーナーは「皆川月華」「山鹿清華」の巨匠の作品コーナー。帝展(今の日展)に工芸部が新設された昭和2年に入選された方々。
こちらは、テレビ番組で驚きの鑑定結果が出た初代龍村平蔵の帯。
「晩年の頃に織られた物だろう。初代龍村平蔵の帯は帯の中でも最高峰のもので、依頼品も当時平蔵が持てる技術を全て詰め込んで織られた一本。本歌は高蒔絵で、山の部分を見ると"ふくれ織"という技法を使っており生地がふくらんでいる。これは裏の糸を少し縮めることで表側をふくらます技法。船や花の部分には"縫い取り"という技法が使われている。これによって蒔絵の盛り上がりを表現できている。当時の職人で織れるスピードが一日約3センチ。そのため物凄い時間をかけて織られた帯ということになる。」と鑑定団が説明されたそうです。
鑑定結果は なんと 1千万円!!
加賀友禅で最初の人間国宝になった作家木村雨山の作品。
『こちらは皆さんおなじみの羽田登喜男さんの作品。羽田さんは加賀友禅を学んだ後、京友禅を学び、二つの異なる友禅を融合した作家さん。二つの友禅の垣根を越えた独創性あって、人間国宝に認定されたんですよ』
蒔糊技法を駆使する京友禅の作家として知られていた森口華弘(かこう)さんのお着物
親子2代にわたって重要無形文化財「献上博多織」の保持者に認定され人間国宝に認定された小川善三郎と長男の規三郎さんの作品の前での説明。
『博多織は緯糸を強く打ち込みます。女性では織れないと言われています。そして、常に一定の強さで打ち込まなければいけないので、夫婦喧嘩が出来ないそうですよ。この野郎!!って思って打ち込むと力が強くなり過ぎちゃうでしょ??』と、楽しいお話も交えて説明していただけました。
江戸時代の小袖⇩
明治時代の黒留袖⇩
『これは芭蕉布の着物を織る繊維を使って織ってもらった帯地に紅型を染めてもらったのよ』と楽しそうにお話して下さいました。
樋口さんは、『ここに展示している人間国宝の方々はもうなくなられている方がほとんど。今、活躍されている志村ふくみさんも91歳。小川規三郎さんは79歳。森口邦彦さんも74歳ですよ。もう4年ほど、染織では人間国宝も出ていないの。』と着物を作る技術の素晴らしさを伝えるとともに、将来の心配もされていました。
染織の技・作家さんのこと・・・次々と途切れることなくお話される樋口さんの知識はすごかったです。
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